ピル(経口避妊薬)とは

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ピル(経口避妊薬)について


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1.ピル(経口避妊薬)とは

ピル
ピル(経口避妊薬)の画像

ピル(経口避妊薬)は、女性の体内で作られる「エストロゲン(卵胞ホルモン)」「プロゲステロン(黄体ホルモン)」という2つの女性ホルモンを成分とする薬剤です。

これらのホルモンは本来、"排卵してから生理が来るまでの間"と、"妊娠している時"に体内で分泌されるものです。

つまり、ピルを継続して服用することで、身体が「今は妊娠中である」と錯覚し、以下のような変化が起こります。


  • 排卵が行われない(卵子が子宮に向けて排出されない)
  • 子宮内膜が厚くならない
    →受精卵が子宮内膜に着床しなくなる
  • 子宮頚管粘液(おりもの)が変化する
    →よりネバネバになることで、精子、細菌、ウイルスなどが子宮内に侵入するのを防ぐ

といった変化が現れます。

では次に、こうした変化によって具体的にどんな効果が得られるのか解説します。


2.ピルの効果・効能

効果1.避妊

ピルの効果によって排卵が止まるため、卵子が子宮内に届かなくなります。
また、既に排卵された後だったとしても、受精卵が着床する「子宮内膜」が、妊娠に適した状態(細胞が増殖して厚くなった状態)にならないため、たとえ性行為によって受精したとしても、受精卵が子宮内膜に着床できず、妊娠には至りません。

ピルは正しく服用すれば99.9%の確率で避妊が可能です。これは避妊手術IUD(子宮内避妊用具)を使用した場合と同じくらいの高い確率です(参考:ピルの服用法)。


効果2.生理周期の変更・調整・コントロール

ピルを計画的に服用することで、生理を早めたり遅らせたりすることができます。

月経周期の調節

前述したように、ピルには体に妊娠中であると誤認させて排卵をストップさせる効果があります。つまり、生理が始まる前(予定生理日のだいたい3〜5日前)からピルの服用を始めれば、服用し続けている限りは生理が始まりません。その後、服用を中止すれば、だいたい2〜4日後に生理が始まります。

逆に生理を早めたい場合は、生理の終わり頃(だいたい4〜7日目)からピルを飲み始めます。
ピルを服用すると、体内のホルモンの状態が「妊娠した時」と同じになり、服用し続けることで子宮内膜は妊娠時(=高温期)と同様の状態を維持します。だいたい7日以上服用した後で服用をやめると、急激にホルモン量が減少することで、体が生理前の状態にリセットされます。服用を中止した日から2〜4日後には生理が始まります。


効果3.生理痛の緩和

生理痛は特定のホルモンの分泌量が増加する影響によって起こります。
生理痛の原因となるホルモンは、生理前の排卵に伴って増えるほか、生理期間中にも増加するため、生理の前や生理中に生理痛が起こるわけです(参考:生理痛とは)。

ピルには排卵を抑制したり、生理をストップさせる効果があるため、ホルモンの増加が抑制されて生理痛も解消されます。

生理開始予定日の数日前から薬を飲み始めるとより効果的で、ひどい生理痛に対して鎮痛剤よりも高い効果が見込まれます。主に低用量ピルが使用されます。


効果4.生理に関する異常を改善

ピルは生理に関連する様々なトラブルの改善にも役立ちます。

生理の遅れ、生理不順、不正出血などの症状改善

疲れやストレスによってホルモンバランスが崩れると、以下のような様々な生理の異常が生じます(参考:生理不順)。

  • 生理が大幅に遅れる、またはこなくなる
  • 生理周期や生理持続期間が乱れる
  • 生理時の出血(経血量)が極端に増える、または減る(過多月経・過少月経)
  • 生理時以外に経血がある(不正出血)

ピルを数週間〜1ヶ月程度服用することで、こうした異常を解消して生理を正常に戻すことができます。
ピルは2種類の女性ホルモンを成分としており、これらが持続的に供給されることでホルモンバランスが安定するためです。

子宮内膜症の治療

ピルは子宮内膜症の治療にも使われます。ピルの作用によって生理を止めることで内膜症組織を萎縮させます。

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3.ピルの服用方法

基本的なピルの飲み方、服用の手順や注意点について解説します。
詳しくは医師にピルを処方された時にしっかりと確認しましょう。

3-1.飲む時間帯

ピルは毎日1回、決まった時間帯に飲む必要があります。というのも服用の前後で一定以上の間隔が開いてしまうと、体内のホルモン濃度が一定に保たれず効果が低くなってしまうからです。
服用の間隔が12時間以内なら問題ないとされています。つまり、遅くとも前回服用してから36時間以内に飲まなければならないということです。

飲む時間帯を決めることは、飲み忘れ防止にも効果的です。朝の寝起き時や、夜の就寝時などが習慣づけやすいでしょう。
何時頃でなくてはいけないとか、何時頃だと効果が高いといったことはありません。食前でも食後でもかまいません。特定の食物やアルコールといっしょに飲むと効果が無いだとか、体に悪いといった食べ合わせの問題もありません。


3-2.服用のサイクル

低用量ピルのケースを例にして具体的な服用例を示します。


  1. 生理の初日からピルを飲み始めましょう。飲んだ当日から避妊の効果が得られます。
    生理初日以降から飲み始めても構いませんが、その場合、避妊効果が得られるまでやや時間がかかります。遅くとも生理後7日目までに服用を開始しましょう。8日目以降になると避妊効果が得られない可能性が高くなります。
    ※生理痛の緩和が目的なら、生理開始予定日の数日前から薬を飲み始めるとより効果的です。

  2. 毎日一錠ずつ服用し、21日間服用した後は7日間服用を止めます(休薬期間)。
    休薬する代わりに「偽薬(※)」を7日間服用する28錠タイプのピルもあります。これは7日間の休薬を忘れるのを防止するためです。
    ※偽薬(ぎやく):見かけは本物の薬と同じだが、薬の成分が入っていないもの。人体に影響のないビタミン類、ブトウ糖、乳糖が成分のものが多い。「プラシーボ」とも呼ばれる。

  3. 7日間の休薬後、8日目から再び21日間、毎日ピルを服用します。以降、服用と休薬を繰り返します。

3-3.飲み忘れによる避妊効果への影響

ピルは卵巣を眠らせて排卵が起きないようにします。眠りには深い眠りもあれば浅い眠りもあります。ピルの服用が生理初日より送れたり、服用途中で飲み忘れて38時間以上間隔が開いてしまったり、休薬と服用再開の間が開いてしまったりすると、卵巣の眠りが浅くなります。
それにより、避妊効果が現れるまで時間がかかったり、避妊効果自体が低くなります。

ピルは、初回は必ず生理初日に服用し、その後も飲み忘れなく毎日服用し、しっかり休薬期間をとり、休薬後も間隔を開けずに服用を続けるという一連の正しい服用法を守らなければ、約100%という高い避妊率は得られません。

服用時間帯をしっかり定め、アラームを利用するなどして、ピルの飲み忘れを防止しましょう。


4.ピルの購入方法・価格

ピルは医薬品のうちの処方箋医薬品(しょほうせんいやくひん)に分類されます。

処方せん医薬品とは
薬事法第49条の規定により、医師等からの処方箋交付を受けた者以外に対しては正当な理由なく販売または授与してはならないとして厚生労働大臣が指定した医薬品。

つまり、基本的に医師の診察を受けて必要と判断された場合のみ処方される薬です。よってピルを処方している病院(ほとんどは産婦人科)で処方してもらうしかありません。
ピルの値段はひと月分で2〜3,000円程度です。


<注意!!>

現在、インターネット通販でピルを販売したり、個人輸入代行を行なっているサイトが多数見受けられます。
ピルは女性ホルモンの塊です。誤って使用すると身体のホルモンバランスを崩し、多種多様な副作用を引き起こしうる薬でもあります。

医師の診断を受けた上で正しく使用する分には問題ありませんが、自分の症状に合わないものを使用したり、使用量や使用法を誤ることで、重大な病気や場合によっては生命に関わる大きなトラブルにつながる危険もあります。

「何度も使った経験があるから」とか、「いちいち病院に行くのは面倒くさい」、「もっと安く手に入れたい」といった安易な考えから自己判断で購入し、むやみに自分の身体を危険にさらすことのないよう、十分に注意しましょう。


関連項目

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