生理痛に伴うつらい症状を和らげる方法は色々あります。
その代表といえるのが、鎮痛剤(ちんつうざい)、いわゆる痛み止めの薬を服用して、一時的に痛みを緩和・解消する方法です。
鎮痛剤は薬局などでも簡単に手に入りますが、その種類・成分・効果・効能は様々で、使用できる症状や年齢などにも制限があり、副作用もあります。正しく用量・用法を守って服用しないと、痛みを和らげるどころか悪化させることもありますので、特徴をしっかり理解しておきましょう。
鎮痛剤は医学用語で「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs:Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs)」といい、痛みの元となる炎症を抑えたり、熱を冷ます作用のある薬剤の総称です。
鎮痛剤には鎮痛効果のある成分が含まれています。
主なものには、イブプロフェン、アスピリン、アセトアミノフェン、ロキソプロフェン、インドメタシン、ジクロフェナク、ケトプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカムなどがあります。薬のCMや広告でもよく名前を聞きます。
コーヒーや緑茶などに多く含まれるカフェインにも鎮痛作用があり、鎮痛剤の成分としてもよく使用されます。
鎮痛剤に分類される薬は多種多様ですが、どの鎮痛剤でも基本的な効果・効能が「炎症の抑制と解熱作用」であるという点では同じです。
痛みを和らげる効果は成分によって差があります。
だいたい以下の順に効き目が大きくなります。
鎮痛剤の効果は、炎症を抑えたり、熱を冷ますことです。
発生した痛みそのものを感じなくするため即効性はありますが、痛みの根本的な原因まで治せるとは限りません。
患部に強い刺激が加わった時など、一時的な炎症が原因の痛みであれば、鎮痛剤によって炎症が鎮まることで痛みが完治します。しかし、病気や大きなケガなどの場合、組織の損傷や障害が治るまで炎症も治まらないため、鎮痛剤は痛みの一時しのぎにしかなりません。炎症以外の原因による痛みであったり、体質が原因で痛みが生じているケースでも同様です。
こうしたケースでは、痛みの元となる病気が完治したり、体質が改善されたりしない限り、痛みを根本的に断つことはできません。
軽度の生理痛であったり、生理痛が一時的に和らげば十分というのであれば鎮痛剤で十分です。
体質や体調によって重い生理痛が生じている場合は、鎮痛剤で痛みを抑えつつ、根本的な原因を解消する必要があります。
薬効によって体質を改善する場合は「漢方薬」がオススメです。
市販の痛み止め薬は、生理痛、頭痛、歯の痛み、関節の痛みなどに効果がありますが、腹痛や胃痛といった内臓の痛みには効果が無いものが多いです。
それどころか病気の種類によっては、一部の成分がマイナスに働いて症状を悪化させたり、病状を長引かせることさえあります。
購入時はよく説明書きを確認するのはもちろんのこと、薬剤師が常駐する薬局なら、自分の症状をよく話した上て、希望に合った商品を選んでもらうのが無難です。
内臓の痛みを和らげたいなら、病院で診察を受けて医師に薬を処方してもらったほうが良いでしょう。
鎮痛剤に含まれる成分は、胃に強い刺激を与えて大きな負担をかけます。そのため薬の服用時は、胃が荒れるのを防ぐため胃薬も一緒に飲むのが一般的です。病院でも鎮痛剤と胃薬はセットで処方されることがほとんどです。
鎮痛剤の飲み過ぎは、胃潰瘍や消化管出血の原因となります。そのため胃に持病がある人は、痛み止めのために鎮痛剤を用いることはできません。
鎮痛剤に寄る副作用で最も多く見られるのは「胃の障害」です。
胃の不快感、胃もたれ、むかつき、胃痛といった軽い症状から、胃腸炎・胃潰瘍などの病気まで起こりえます。そのほか、骨折が治りにくくなる、血がとまりにくくなる、血圧異常、肝臓障害、慢性の心疾患(心臓の病気)なども見られます。
鎮痛剤は身体への刺激・影響が大きい薬でもあるため、低年齢の子どもは一部の鎮痛剤の使用に制限があります。
例えば、鎮痛成分の容量が大きく効果が高い「イブプロフェン」や「アスピリン」が含まれる鎮痛剤は、市販薬に限り、小児(15歳未満)への使用が認められていません。医師が処方する場合はこうした制限はありません。
使用に制限のある成分はいくつかあるため、市販薬を使用する場合は必ず使用上の注意を確認しましょう。
鎮痛剤は、痛みが出る前や、痛みがひどくなる前に服用するほど効果が高くなります。これは、鎮痛剤には痛みを強める物質「プロスタグランジン」の発生を抑える効果もあるからです。
たくさん発生してしまってから服用しても、プロスタグランジンを減らすことはできないため、鎮痛効果は下がります。
あまり効果が出ないからといって薬を飲み過ぎると、胃に大きな負担をかけるため、一日の容量、一回ごとの用量はきちんと守ってください。
「痛みがかなりひどい」、「市販の鎮痛剤を飲みつづけても効果が現れない」、「服用後に症状が悪化した」といった場合には、服用を止めてすぐに医療機関を受診しましょう。
例として、日本国内で鎮痛剤(痛み止め薬)として市販されている商品のいくつかを紹介します。
メーカー | 製品名 | 主成分 |
---|---|---|
エスエス製薬 | イブ | イブプロフェン |
イブA | 体質イブプロフェン、カフェイン、催眠鎮静成分 | |
イブクイック頭痛薬 | イブプロフェン、カフェイン、催眠鎮静成分、制酸剤 | |
ライオン | エキセドリンA/カプセル | アセトアミノフェン、アスピリン、カフェイン |
バファリンA | アスピリン | |
バファリンエル | アセトアミノフェン、エテンザミド、カフェイン、催眠鎮痛成分 | |
バファリンプラス | アセトアミノフェン、アスピリン、カフェイン、催眠鎮痛成分 | |
小児用バファリン | アセトアミノフェン | |
内外薬品 | ケロリン | アスピリン、カフェイン |
ケロリンIBカプレット | イブプロフェン、カフェイン、催眠鎮痛成分 | |
ケロリンチュアブル | アスピリン、アミノ酢酸 | |
藤沢薬品 | サリドンA | エテンザミド、イソプロピルアンチピリン、カフェイン |
サリドンエース | エテンザミド、アセトアミノフェン、カフェイン、催眠鎮痛成分 | |
大正製薬 | ナロンエース | イブプロフェン、エテンザミド、カフェイン、催眠鎮痛成分 |
ナロン錠/顆粒 | アセトアミノフェン、エテンザミド、カフェイン、催眠鎮痛成分 | |
武田薬品 | タイレノールFD/FD小児用/細粒 | アセトアミノフェン |
アラクス | ノーシン | アセトアミノフェン、エテンザミド、カフェイン |
ノーシンピュア | イブプロフェン、カフェイン、催眠鎮痛成分 | |
ノーシンホワイト錠/細粒 | アセトアミノフェン、エテンザミド、カフェイン | |
ノーシンホワイトジュニア | アセトアミノフェン | |
各社 | ロキソニン錠/ロキソニン細粒等 | ロキソプロフェン、他 |
商品によって効果の大きさや服用方法が異なっていたり、胃にやさしいなどの付加効果があったりといった違いが見られます。
生理痛の場合、大人(15歳以上)なら、イブプロフェンを含む薬が特に効き目が高いです。
生理に伴う「むくみ」や「ぼーっとした感じ」を抑えたいならカフェイン入の鎮痛剤が良いでしょう。カフェインには尿が出やすくなる利尿作用や眠気を抑える作用があります。ただし、カフェインは胃に負担をかける成分なので、胃の弱い方や摂り過ぎには注意しましょう。
緊張感やイライラに伴う頭痛には、興奮を抑える催眠鎮静成分入りの痛み止めが効果的です。