生理の具体的な機能や役割については知らなくても、実際の生理が自身のからだにどういった影響を与えるものなのかは、女性なら身を持って知っていることでしょう。
毎月のように発生しては様々な痛みや不快感を与えるものなので、できれば無くなって欲しいと思うかもしれません。
でも生理は女性が女性らしく生きて、大事な赤ちゃんを授かるためには無くてはならないものなのです。また、その発生のメカニズムや発生サイクルをよく知ることは、質の良い生活を送るのにも役立ちます。
生理は正式な医学用語では月経(げっけい)といいます。
月経を簡単に説明すると、女性が妊娠するためのシステムの一部です。
思春期に入ると、女性ホルモンの働きによって女性のからだは体内で赤ちゃんを育むための環境づくりを始めます。
8歳ころから女性ホルモンが働き始め、初めての生理である「初潮」を迎えた後は、毎月体内で卵子が作られ、同時に子宮内に「子宮内膜(しきゅうないまく)」という膜が作られるようになり、受精卵を育むための準備をします。
しかしこの準備期間中に妊娠しなかった場合には、子宮で準備したもの、つまり卵子や子宮内膜が出血と共に膣から体外に排出されます。この現象が生理(月経)です。
※「子宮内膜」とは卵子が付着する部分で、受精卵を優しく包みこむベッドのようなものです。毎月ベッドメイクするように、新しい子宮内膜が作られては剥がれ落ちるというサイクルを繰り返します。
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一般的に、生理が近づくと心身に様々な変化が現れます。
落ち込んだり怒りっぽくなるなど、精神的に不安定になったり不快感を感じたり、腰痛・腹痛・頭痛などの痛み(生理痛)が生じたりと、大抵の場合、女性にとって好ましくない、つらい症状が発生することが多いです。
こうしたつらい症状を引き起こす原因は、生理に伴う子宮内の変化そのものではなく、変化を生じさせる要因である「ホルモンの分泌量の増加」です。
ここでは詳しい解説は省略しますが、生理時に分泌される女性ホルモンの一つ「プロゲステロン(黄体ホルモン)」やプロスタグランジンというホルモンの影響であると考えられています。
これらのホルモンは、「基礎体温を上げる」、「食欲を増進させる」、「卵子が子宮内膜に付きやすくする」、「子宮を収縮させて不要になった粘膜や血液を体外に排出する」など、生理や妊娠が正常に進行するのを助ける役割をもつ物質なのですが、からだに大きな変化を生じさせる過程で、前述したような様々なつらい症状も同時に引き起こすのです。
【関連項目】
生理期間中は女性の体内で以下の一連の流れが生じます。
このサイクルは初めての生理(初潮)から、歳をとって50歳前後に生理が起こらなくなる「閉経」を迎えるまでの間、毎月ずっと繰り返されます。
※例外として、妊娠期間中や避妊薬(ピル)の服用期間中は生理が止まります。
一回の生理周期はだいたい28日前後ですが、体調やストレス、病気などが原因で、このサイクルが数日から数週間長くなったり短くなることもよくあります(生理不順)。また、なかなか次の生理が始まらないといったことも起こり得ます。
こうした生理の異常については別項で詳しく解説しています。
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