ピルの副作用について
ピルは女性ホルモンを成分とする薬です。体の機能をコントロールする女性ホルモンの量や体内比率を直接変化させるため、少なからず副作用が現れます。
副作用について、良く見られる軽度のものから、滅多に見られないが重い症状まですべて紹介します。
1.比較的発生しやすい副作用
ピルを服用すると、体内が妊娠時に近い状態になります(参考)。そのため、妊娠時に見られる症状がピルの副作用としても多く見られます。
◆気分が悪くなる・吐き気・嘔吐
ピルの服用初期に見られやすい症状です。ビタミンB6の服用が吐き気の副作用に対して効果的です。
◆頭痛・イライラ・気分の落ち込み(憂うつ感)
生理通の症状としてもよく見られる副作用です。
◆乳腺が肥大する
一時的に胸が大きくなり、胸が張って痛むことがあります。
◆性欲が減退する
妊娠時と同様に性欲が少なくなります。
◆体重が増加する(太る)・体がむくむ
ピルを長期間服用していると、次第に肥満の傾向がでてきます。詳しいメカニズムははっきりしていません。また、水分が貯留しやすくなるためにむくみが起きやすくなります。
◆体毛が薄くなる・肌のトラブル
男性ホルモン「アンドロゲン」の働きを抑える女性ホルモン「エストロゲン」が増えることで、ムダ毛が薄くなったり、ニキビが解消するなどの嬉しい副作用(副効能)が見られます。ホルモンバランスが崩れることで逆にニキビやそばかすが増えるなどの肌のトラブルが発生することもあります。
◆喫煙による悪影響の増加
ピル服用者が喫煙者である場合、タバコを吸わない人よりも明らかに心臓・血管系への障害が発生しやすい傾向があります。ピル服用中は完全な禁煙を心がけましょう。
2.発生頻度が低い副作用
◆肝臓の障害が起こる
肝臓でピルの代謝を行うため、飲み続けるほど肝臓に負担がかかります。肝臓が弱い人や肝機能障害のある方は注意が必要です。
◆血液が固まりやすくなる
血液が凝固しやすくなり、血栓症を起こすことがあります。狭心症や心筋梗塞などの心臓の病気や、高血圧、高脂血症、高コレステロール血症、脳卒中などの病歴のある方は、頻度が少ないとはいえ生命に関わることもあるので、服用時は忘れずに医師に相談しましょう。
◆子宮筋腫の進行
子宮筋腫は女性ホルモン「エストロゲン」の量に比例して大きくなると言われています。子宮筋腫を患っている方はピルの服用を控えたほうが賢明です。
◆性器カンジダ症の発症
ホルモンの影響で膣内が酸性に傾くことで、膣にかゆみを感じる「カンジダ膣炎」が起きやすくなります。これはカンジダという真菌が性器に感染して生じる感染症です。
◆その他
「糖尿病が悪化しやすい」、「長期服用により発ガン性が高まる」などの副作用が報告されています。
ここまで紹介してきた各種の副作用は、ホルモンの含有量が多い中・高用量ピルほど起こりやすく、また症状も重くなりがちです。逆にホルモンの含有量が少なめの低用量ピルや超低用量ピルでは副作用は大分少なく、かつ症状も軽くなりました(参考:ピルの種類)。
また副作用は個人差が大きいため、こうした症状が必ずしも全ての人に見られるわけではなく、症状の重さも人によって様々です。